釜炒り茶「隠元さんのお煎茶」@長崎県

釜炒り茶「隠元さんのお煎茶」

先日、長崎の興福寺を訪れた折、「隠元さんのお煎茶」という釜炒り茶が売られていた。このお茶の存在は知らなかった。

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日本に釜炒り茶を伝えた隠元さんのお煎茶

山門をくぐり拝観料を支払うと、入り口そばの販売コーナーに、月桃茶などと並べてお茶が販売されていた。写真だとビニール袋の反射のため分かりづらいが、金地に麻の葉文様の包装で高級感がある。

「長崎の釜炒り茶を買って帰りたい」と思いながらもm長崎市内ではなかなか見つからず、まさかお寺で購入できるとは思わなかった。

黄檗宗 東明山 興福寺が監修&境内にて販売

黄檗宗 東明山 興福寺@長崎県長崎市

パッケージには興福寺所蔵の隠元禅師の肖像画に、「興福寺住職 松尾法道禅師監修」と書かれている。興福寺の全面バックアップにより作られたお茶のようだ。これだけ隠元禅師を全面に出しているお茶なら、宇治の萬福寺でもお取り扱いしてもよさそうなもの。

隠元さんのお煎茶は「上ノ原製茶園」の釜炒り茶

釜炒り茶「隠元さんのお煎茶」

販売されていた方に「これはどちらのお茶ですか?」とたずねた所、「嬉野です」。

(できれば長崎のお茶がよかったけれど…まあ釜炒り茶と言えば佐賀の嬉野ではある)と思いつつ1つ買い求めた所、茶袋の裏にはこのように書かれていた。長崎県内の「上ノ原製茶園」という所のお茶らしい。佐賀ではなく長崎の茶だった。ちゃんと伝えてほしい。

中国明の高僧隠元禅師が、長崎の唐寺興福寺の熱い要請に応えて1654年に来崎。

その折弟子、職人衆ともにもたらしたとされたのが優れた建築技術、書画、印刻などの文人文化。お茶の苗も寺庭に植え、中国式に鉄釜で炒る「釜炒り茶」すなわち「煎茶」を伝えました。

また、禅師はいつも特大の茶罐(急須)に茶を淹れて、円形の卓(ダイニングテーブル)に身分を問わず誰でも招き茶をふるまったと伝えられています。

長崎県内の上ノ原製茶園では、この隠元さんの「釜炒り茶」の伝統と禅師の「みんな仲良く」の精神をお茶づくりの指針としております。

隠元さんのお煎茶 説明文より

無農薬・無化学肥料の釜炒り茶

調べてみると「上ノ原製茶園」は、長崎県北の佐々町(さざちょう)という所にあるようだ。上ノ原製茶園では、釜炒り茶が飲める喫茶店「息福」(いっぷく)も運営している。

こちらのサイトで、上ノ原製茶園のことが詳しく紹介されており、参考になった。釜炒り茶は中国では一般的だが、日本では「日本茶全体のわずか0.03%」だとは…非常に希少なお茶。

隠元さんのお煎茶、実飲

自宅で早速開封し、「隠元さんのお煎茶」をいただく。勾玉状の茶葉で長さは短め。茶葉をカットして炒っているようだ。

水色は黄金色。煎を重ねても色あざやか

水色はキレイな金色をしている。あまり見たことがない水色で、驚くくらいのイエロー。写真では色の再現がなかなか難しいのだが、実物はもっとくっきりとした鮮やかな色をしている。

アミノ酸系の旨味がガツンとくる感じはなく、すっきりと爽やか。三煎重ねても渋みは出ず、水色も黄金色を保っている。茶殻は、濃い緑ではなく若草色。香りはそこまで感じなかったが(中国の釜炒り茶「龍井茶」を飲み慣れているためかも)、日本の緑茶好きより中国茶好きにオススメかもしれない。料理のおともや、お茶漬けにも合いそうだ。

隠元さんのお煎茶は、通販でも購入可能

上ノ原製茶園のオンラインショップをのぞいて見た所、「隠元さんのお煎茶」は通販でも求めることができる。遠方の身として、これはうれしい。

上ノ原製茶園

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