世界各国の茶の呼び名|チャとティーの語源

世界各国の茶の呼び名|チャとティーの語源

世界中で飲まれている茶。中国で生まれた喫茶の習慣は、世界各地に広がりました。

お茶は、どのような経路で伝わったかによって呼び名が異なります。大きく2系統「チャ」(cha)と「テー」(te)のグループがあり、どちらも中国語が語源です。茶の呼び名の違いと伝来ルートについて、ご紹介します。

目次

広東語がルーツの「CHA」

お茶

「チャ」(Cha)は、広東語の茶の発音がルーツです。

当初、茶には様々な呼び名や漢字がありましたが、唐代以降、中央政府も茶(チャ)と発音していました。歴代の中国王朝は、近隣諸国との貿易に茶を利用していため、茶は広東省だけでなく、国内各地の通商拠点からも伝播していると考えられます。

陸路で各地に伝わる

世界の茶の呼び名 CHAの伝播ルート
CHAの伝播ルート

唐の時代、茶と馬を交換するための交易路「茶馬古道」ができます。

雲南省や四川省の茶が各地に運ばれ、広東から北京、朝鮮・モンゴル、西はチベット、中近東を経て一部東欧圏まで運ばれました。日本には遣唐使などの僧が茶を持ち帰り、仏教と共に伝来しています。

尚、ヨーロッパ諸国の中で、ポルトガルだけは、唯一「チャ」と発音する国です。これは、当時ポルトガルが広東省のマカオを統治していたため、広東語系列の呼び名となったためです。

世界各地のCHAの発音

茶器セット

チャ・チャイを基本形に、各地で様々な呼び方のバリエーションがあります。

 チャ

  • 北京語(茶)、広東語(茶)、日本語(茶)、チベット語(ཇ )
  • ポルトガル語(chá)、タイ語(ชา)、ベトナム語(chè)、ネパール語(Ciyā)
  • ラオ語(sa)、朝鮮語(차)、イラン語、ベンガル語(cā)

チャイ

  • モンゴル語(цай)、ロシア語(чай)、トルコ語(çay)
  • ヒンディー語(चाय)、スワヒリ語(chai)、ポーランド語、
  • ボスニア語(čaj)、チェコ語(čaj)、ギリシア語(τσάι)、ブルガリア語(чай)
  • スロバキア語(čaj)、マケドニア語(čaj)、アルバニア語(çaj)
  • セルビア語(чај)、スロベニア語(čaj)、ペルシア語(چای‎)、ベラルーシ語(čaj)
  • キルギス語(çay)、アゼルバイジャン語(cay)、クロアチア語(čaj)
  • ルーマニア語(ceai)、ウズベク語(choy)

チャーヤ

  • ヒンディー語(chaya)

シャイ

  • カザフ語(Şay)、アムハラ語(shayi)
  • アラビア語(شاي‎)、ソマリ語(Shaaha)

チャハ

  • カンナダ語(Cahā) ※南インドのカルナータカ州の公用語

福建語がルーツの「TEA」

中国茶器の蓋碗

「ティー」(TEA)は、閩南語(びんなんご)の「tê」(テー)がルーツで、中国福建省の廈門(アモイ)の方言です。

「tê」の読み方は、「茶」以前に使われていた「」(と)に由来すると言われています。

「荼」は元々ニガナ(キク科の野草)を指していましたが、紀元前1世紀頃、茶の意味にも使われるようになりました。喫茶風習が広まると、茶だけを示す文字が必要となり、唐の時代に新しく「茶」という漢字ができたと考えられています。

海路で各地に伝わる

世界の茶の呼び名 TEAの伝播ルート
TEAの伝播ルート

7~8世紀にアジアに伝播した茶は、16~17世紀、更に世界への広がりました。

福建省の港町のアモイは、茶の輸出基地でした。

大航海時代、ヨーロッパで最初に茶を輸入したのはオランダでした。世界初の貿易会社「オランダ東インド会社」を設立し、ヨーロッパの茶貿易を一手に担い、海路で持ち帰られた茶葉は、TEの名とともに近隣諸国に広まります。

その後、オランダから茶を輸入していたイギリスもイギリス東インド会社を設立、自国で茶の輸入を行うようになります。当時、シノワズリー(中国趣味)は、上流階級の ステータスシンボルでした。

世界各地のTEAの発音

紅茶の茶器セット

ヨーロッパ諸国(イギリス、フランス、オランダなど)、アメリカ、南アジア(マレーシア、スリランカなど)は、TEの系統に属しています。多少の違いはありますが、ほぼティーの発音で広がっています。

尚、ハワイ語では「kī」(キー)と呼びます。この独特な発音の理由は、ハワイ語に「t」の音がなく「k」と区別されないため、英語のteaが「キー」となったそうです。そのため、Tea系統と言えます。

  • 福建語(te)、スペイン語(tè)フランス語(thé)、イタリア語(tè)
  • チェコスロバキア語(tè)、マルタ語(te)ウェールズ語(te)
  • アイルランド語(tae)、ガリシア語(tè)、デンマーク語(tè)
  • スウェーデン語(te)、フィンランド語(tee)、ラトビア語(tee)
  • ヘブライ語(תֵה)、カタロニア語(te)、グシャラート語(ti)
  • 朝鮮語(ta)、テルグ語(ti)、コルシカ語(tè)、クメール語(te)
  • ヨルバ語(tii)、イボ語(tii)、マラヤーラム語(ti)

テー

  • オランダ語(thee)、ドイツ語(tee)、エストニア語(tee)、ラトビア語(tee)
  • エストニア語(tee)、インドネシア語(teh)、マレー語(teh)、シンハラ語(tē)
  • ジャワ語(teh)、スンダ語(teh)、マレー語(teh)、アフリカーンス語(tee)
  • 南インド(tey)、セイロン語(thay)、イデッシュ語(tey)

 ティー

  • 英語(tea)、ラテン語(tea)、ゲール語(tea)、ノルウェー語(te)
  • ハンガリー語(tea)、クルド語(tea)、マダガスカル語(tea)
  • マオリ語(tea)、コサ語(tea)、ハウサ語(tea)、サモア語(tea)
  • タガログ語(tsa)、セブアノ語(tsa)、西フリジア語(tea)、ズールー語(tea)
  • アルメニア語(թեյ)、ハイチ・クレオール語(tea)、ニャンジャ語(tea)
  • ジョージア語(თეა)、ショナ語(tii)、イヌクティトゥット語(ᑏ / tii)

 ティーヤー

  • タミル語(Tēyilai)、ラトビア語(Tēja)

まとめ

ティーカップ

茶は、中国で「チャ」(cha)「テー」(te)の2つの呼び方がありました。

陸と海のティーロードを通って世界各地に広まり、中国の茶の呼び方は各地に引き継がれ、その土地独特の喫茶文化となります。尚、実は「TEA」「CHA」以外の呼び方をする国や民族も存在します。そちらは、以下の記事でご紹介しています。

FAQ

Q. なぜ英語は「ティー」、日本語や中国語は「チャ」と発音するのですか?

A. 同じ中国語がルーツでありながら、伝わった経路が異なるためです。日本や朝鮮半島、中東などへは陸路(茶馬古道など)を通じて広東語系の「チャ」の発音が伝わりました。一方、イギリスなど西欧諸国へは、大航海時代に福建省アモイから海路でオランダ・イギリスの東インド会社を経由して「テ(tê)」の発音が伝わっています。

Q. ヨーロッパの中で、ポルトガルだけ「チャ」と発音するのはなぜですか?

A. 当時ポルトガルが、広東省のマカオを統治していたためだと言われています。他のヨーロッパ諸国がオランダ・イギリスの東インド会社を通じて福建語系の「テ」の発音を輸入したのに対し、ポルトガルはマカオ経由で広東語系の「チャ」を直接取り入れたため、周辺国と異なる系統になったと考えられます。

Q. ハワイ語で茶を「キー」と呼ぶのはなぜですか?

A. ハワイ語には「t」の音がなく、「k」と区別されないためです。英語の「tea」が現地の発音体系に取り込まれる過程で「kī(キー)」に変化しました。発音は異なりますが、由来をたどればteaと同じ系統に含まれます。

Q. 「茶」という漢字ができる前は、何と呼ばれていたのですか?

A. 「荼(と)」という字が使われていたと言われています。もともとニガナ(キク科の野草)を指す字でしたが、紀元前1世紀頃から茶の意味でも使われるようになり、喫茶の習慣が広まったことで、唐代に新しく「茶」という漢字が作られたと考えられています。

Q. 世界的には「チャ」系と「テ」系、どちらが多いのですか?

A. どちらも世界各地に広く分布しています。陸路で伝わった「チャ」系は中国・日本・朝鮮半島から中東、東欧の一部までユーラシア大陸を広くカバーし、海路で伝わった「テ」系は大航海時代の貿易網を持っていたヨーロッパ諸国とその植民地(南アジア・アメリカ大陸など)を中心に広がりました。伝わった経路の違いがそのまま呼び名の違いとして、今も世界地図に残っている点が興味深いところです。

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