月替りで独創的な甘味がお目見え。仙台の新進和菓子屋「まめいち」@宮城県

和菓子まめいち(宮城県仙台市)

京都の老舗和菓子屋「老松」さんで修行されていた「和菓子 まめいち」さん。定期的に新しい生菓子を生み出していて、幾度に新鮮な発見がある。

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2023年に定禅寺通りにオープン

定禅寺通りを見渡せるよう、窓際にカフェスペースがある。

以前は青葉区本町に店舗があったが、コロナを機にテイクアウトのみとなり(※現在は製造拠点となり販売はしていない)、2023年に満を持して新店舗がオープン。

定禅寺通りのせんだいメディアテークの隣にあり、2階なので窓からはケヤキ並木が眺められる。新緑の時期は特に気持ちがよく、杜の都を感じられる好立地。12月は光のページェントも見られるものなのだが、そこは夕方に閉店するといういさぎよさ。

カフェスペースで店内飲食が可能

高松太一郎さんのオートクチュールにインスパイアされて創作された和菓子「服わぬ者(まつろわぬもの)」。。

店内は和ではなく洋の雰囲気で、スタッフの方もカフェスタイルのファッション。

新店は持ち帰りだけでなく、店内飲食も可能に。抹茶や京都一保堂のほうじ茶とともに、お菓子を頂ける。富士山の白湯もつく。和菓子の説明の冊子がついており、その世界観を堪能できる。

1~2名の座席が多いので、少人数での訪問がおすすめ。

京都の有職菓子御調進所「老松」で修行

店主の幾世橋陽子さんも時折店頭に立たれており、エネルギッシュでお話がとてもおもしろい。語りだすと止まらなくなるタイプだと思う。「京都の老舗、老松で働きたい」と、思いをしたためた巻物を送ったというエピソードが面白すぎる。そして、それを受け入れた老松さんも粋なことをする。

なにかのインタビューで、「会う人会う人、悪く言う人が誰もいないので、本当に?と思っていたけど、実際に会ってみたら評判通りだった」という紹介文を読んだ(うろ覚えなので言い回しは違うかもしれないが、こういった趣旨の文章だった)。あまりにも率直な内容につい笑ってしまったが、このライターの方に好感を感じずにいられない。そして自分も右に同じくの感想だ。

まめいちさんの修行先である有職菓子御調進所「老松」は、以前に「世界!ニッポン行きたい人応援団」という番組で、和菓子を愛するチェコの方(エリシカさん)を受け入れており、老舗でありながら開かれた文化があることを感じた。そして、老松店主の方のノリの良さや明るさは、まめいち店主の幾世橋さんに似た空気感を感じる。テレビで拝見する限りの印象だが、脈々と受け継がれたものがあるのかもしれない。

京菓子展で大賞を受賞

以前、茶会で頂いたまめいちさんの生菓子

ちなみにまめいちさんは、京菓子展の実作部門で、伊藤若冲の「動植綵絵 老松孔雀図」をモチーフにした菓子「 百花の王」で大賞を受賞されている。その後も、2019年奨励賞、2021年榎本信之賞を受賞。

京菓子展は毎年行われている和菓子の公募展。受賞作品は、京都の「有斐斎 弘道館」に展示される。

2024年には、京菓子展の10周年特別展「一席一菓 あつらえのかたち」に参加。このイベントのために夢枕獏が描き下ろした陰陽師の最新作、「菓子女仙」(かしにょせん)を元に菓子を制作。

「菓子で病を癒すと評判の女道士を連れ、露子姫が晴明のもとへ」というストーリーで、菓銘は「氷隠梅」(ひごもりのうめ)、「魚籠」。呈茶もあったようなので、日程があえば参加したかった。

京菓子展とは
「京菓子」は、朝廷文化である有職や茶道文化と密接に関わり発展した世界でも稀にみる芸術的な食べ物です。日本の伝統文化を表す重要なエッセンスが、すべて《50グラムの立体造形》に込められています。

本展覧会は、京都を代表する芸術文化である京菓子を通して、広く皆様に古典文学について知っていただくとともに、京菓子についての理解を深めていただくことを趣旨とするものです。

京菓子展 公式サイトより

月替わりの「ひと月の和菓子」

下段:仙台味噌のあんを包んだ「皐月餅」、錦玉羹の「旭日昇天」

新作の創作生菓子が毎月3~4種類ほど並ぶ。様々なテーマにあわせて生み出される和菓子は、目にも楽しく、なかには見た目や菓銘からは味を想像できないものも。1粒ごとに物語が込められており、発想力と想像力の豊かさたるや。

毎月顔ぶれが変わるので、「また食べたい」と思ってもなかなか出会えないという、一期一会の味。

以前、定禅寺の店舗を訪れた際、「生菓子は店内ではお召し上がり頂けません」と言われたのだが(※展示ケースで販売している生菓子はテイクアウトのみ)、ルールが変わったのか、先日訪れた際は店内で生菓子を頂けるようになっていた。残念に思っていたので、これはうれしい。抹茶や一保堂のほうじ茶など共に頂ける。

和の焼き菓子や季節のパフェも

上段:月をテーマにした和菓子
下段:仙台駄菓子のきなこねじりをアレンジしたおやつ

生菓子のほか、和の焼き菓子(仙台味噌味のラスクやぽーろなど)や季節のパフェもある。隔月でメニューが変わるパフェにも、菓銘のように「心の月」「モンブランの鉄人」「野心家のブラックビート」「木花咲耶姫と磐長姫」「優しい人」など、個性的な名前がつけられている。行くたびに新たな菓子と出会えるのが楽しみだ。

こちらは以前イベントでいただいた試作品のパフェ

和菓子まめいち店舗情報

  • 住所   :宮城県仙台市青葉区春日町1-5 SKビル定禅寺2階A(仙台メディアテークの隣のビル)
  • 営業時間 :販売 10:00-17:00 、喫茶 10:30-17:00(ラストオーダー16:30)
  • 定休日  :木曜
  • 交通   :地下鉄南北線「勾当台公園駅」から徒歩5分
  • 公式サイト:http://wagashi-mameichi.com/
  • instagram:https://www.instagram.com/kiyomameco/
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