銀座の秋の風物詩、銀茶会。昨年は残念ながら雨天中止となってしまったが、今年は秋晴れの元、無事開催。
茶道五流派(表千家・裏千家・武者小路千家・江戸千家・遠州流)と、煎茶道のお茶席が銀座の街に設けられた。
煎茶席(和敬茶道倶楽部)

今年は、13時/14時/15時と3つの時間帯に分け、各席ごとの茶券配布というシステムに。
前回よりも混雑が解消されていたように思う。とは言え、人気の所は、1時間半待って並んでも取れない…という茶席もあったもよう。仏手柑(ぶっしゅかん)の茶巾入れが面白い。

最後の1滴まで絞りきるように。少し風が出てきたこともあり、暖かい煎茶がとても美味しかった。こぶりな涼炉の中には炭が仕込んであり、湧き上がる湯気が見た目にも暖かく。

毎年、銀座の名店が銀茶会のために趣向を凝らすお菓子。今年のテーマは「華」(はな)。
こちらのお席のお菓子は、菊廼舎(きくのや)の「秋菊」。銀座にちなんでだろうか、銀粉が散らしてある。甘さが控えめで煎茶によく合う味だった。

蓮の葉の盆に、剣木瓜型の錫の茶托、茶碗は和善。
こちらの流派では、茶碗を清める際、茶巾を折り返しながら一碗一碗、ふき清めていた。野点傘にかけられた色紙には、「払葉動秋色」(葉を払いて秋色を動かす)の文字。

薄茶席(江戸千家)

こちらのお席は、お手前と半東さんが芸妓さん。
華やかでとても絵になる。いつのまにか人垣ができていた。ちなみに京都は「げいこ」、東京は「げいぎ」と読むとか。

お菓子は、銀座の老舗「空也」の空也もなか。予約しないと購入できないことで有名だが、銀座には空也もなかをいつでも食べられる喫茶店がある。
松屋の裏にある、茶房「野の花」。野草・茶花の専門店「野の花司」の2Fにあり、静かな店内でお抹茶ともなかを頂くことができる。

茶席に話を戻すと、お茶碗には「東をどり」(あずまおどり)の文字が。
東をどりは、京都の「都をどり」にならい、東京は新橋で始められた芸妓舞踊とか。こちらのお席は海外の方も足を止め、茶席が終わった後も、記念撮影大会が巻き起こっていた。
- 東をどり(新橋演舞場)

薄茶席(遠州流茶道)

野点のよい所は、茶券が取れずとも気軽に茶席を拝見できること。
そして、立ち見の方がお手前がよく見えることも多い。通常なら写真など撮れないが、

自然の木を中柱にした、遠州流オリジナルの茶室「自然庵」(じねんあん)。昨年用意していた所、雨で中止となってしまい、今年満を持しての設えとか。
木枠の茶室内には、柿の実がなっていた。ずっしりと重そうで、鳥に狙われそうな甘柿だ。

華やかな江戸千家の茶席に対し、こちらは席主の方もお手前もお運びの方も、全員男性できりりとしている。モノトーンのお着物の色も相まって、落ち着いた印象。
席主の方の足元には、羽織袴をきりりと着こんだ柴犬が。名は、ぶんちゃん。

西郷隆盛のイメージだそうで。とてもおとなしくお利口さんにしていた。
銀茶会は、東北&熊本の震災チャリティーという面もあり、東北&熊本のお菓子を使った席があるほか、募金箱がそこかしこに。楽しませて頂いた御礼に心ばかりの募金を。