浴衣茶会 2018@妙深庵

煎茶席

世田谷某所にあるお茶室「妙深庵」にて、煎茶と抹茶の2つの茶席を楽しめる「浴衣茶会」が開催されました。各席、趣向を凝らした夏の設えと美味しいお茶を頂きました。

煎茶席|方円流

玉露の冷茶

煎茶のお席は、冷茶の茶櫃手前。

ガラスの茶碗が涼しげ。お茶は玉露で、八女と宇治の茶葉をブレンドしたもの。2:8、3:7など、お稽古でも配合を変えて楽しまれているとのこと。
じりじりと暑い日、ひんやりとしたお茶を頂き、生き返る心持ちに。 

蜂の家_菓子「祈り」

お菓子は、自由が丘の「蜂の家」特注で、銘「祈り」。

涼しげな見た目に、中には五色の手鞠のような梅餡。すっきりとした味わい。金粉がさりげなくのっており、金彩のガラス茶碗と呼応しあう。お菓子を頂いた後、二煎目を頂き、一煎目との違いを味わう。

冷茶の茶櫃手前

七夕にちなみ、水指には梶の葉蓋、床の間の花入にはサトイモの葉が。

「サトイモの葉にたまった夜露で墨をすり、梶の葉に和歌や願い事を書いたことにちなんで」とのこと。

七夕で梶の葉が使われる所以は、「梶が、天の川を渡る船の舵に通ずる」と聞いたことがある。そのため、織姫は「梶の葉姫」とも呼ばれる。

水指を上からのぞきこむと、下紙の金がガラス越しに透けて見え、泳いでいるように見える趣向。瓢杓は持ち手が管になっており、細い持ち手の先から水を注ぐ形状のもの。水音で涼を呼ぶ。

そして、杓置きは朝顔。別名、「牽牛花」(けんぎゅうか)。織姫と彦星の二星がそろう趣向。

水盤

床飾のお軸は蓮にカワセミ、水盤を泳ぐ鮎。

鎌倉彫の波文様の結界は二陽堂 三橋鎌幽、繊細な竹組の茶櫃は前田竹房斎の作。

煎茶のお道具は種類も多く、見ているだけでも楽しい。

鎌倉彫_三浦探幽

抹茶席|表千家

 抹茶席

世界茶会の岡田先生の社中によるお抹茶席は、グランドピアノのあるサロン的空間にて。

こちらも立礼のお茶席。棚は裏千家16代・坐忘斎家元好みで、「和親棚」と言うそう。棚板の形は、〇△□の3種類があり、本日は四角いものを。

3つの机は高さがそれぞれ異なり、入れ子になる形式とか。禅宗の応量器のよう。

表千家_茶席

お茶席のテーマは、「夏の風物詩」。

床の間には、鮮やかに彩られた蓮の葉を、花火に見立てた額。元々のお茶室の設えという、黒地に雲がかった壁が夜空のようで、まるで誂えたかのようにぴったり。

蓮の葉の花火
モノトーンを基調としたモダンでシックな設えに、お菓子がびっくり。

草履形の「KABKU~へん」!(かぶくーへん)

かぶくーへん
歌舞伎座の新装開店記念で作られたお菓子だそうで、花魁道中の高下駄をイメージしたもの。

渋めの設えの中、紅一点のようなポップさ。 
冷茶で喉を潤し、涼しくなった後で、食べ応えたっぷりのお菓子と暖かい抹茶を頂き、ちょうどよい塩梅に。

イチイの木の飛騨一刀彫の茶杓、甲子園にちなんだ千羽鶴の棗。ギヤマンの水指は、ルネ・ラリックのガラスのボール。

ルネ・ラリックのガラスの水指

帰り際、待合に掲げられていた上村松園の美人画。

よくよく見ると、絵の女性の視線の先には、小さな蛍が。甘い水(玉露)に呼ばれたのか。

色々な趣向が凝らされ、夏の設えを最後まで楽しませて頂いたお茶会でした。

上村松園「新蛍」

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