「提籃」(ていらん)「茶籠」(ちゃかご)「器局」(ききょく)は、どれも煎茶道具一式を収納し、持ち運ぶための道具です。利用する場が異なり、提籃・茶籠は主に野外用、器局は室内用として使われます。
※上部画像は「売茶翁茶器図」(木村孔陽 1924年)より(出典:国立国会図書館サイト)。
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野外に煎茶道具を持ち運ぶための「提籃」
提籃(ていらん)は、煎茶道具一式を屋外へ持ち運ぶための籠・つづらで、野外の茶席で使われます。中国から渡来した道具の1つで、竹や藤で編まれてたり、木製のものなどがあります。
売茶翁の愛用した 提籃 「泉石良友」
売茶翁の愛用していた提籃(都籃)には、「泉石良友」(百拙禅師 書)という銘が入っています。「泉石」とは、山水の風景のこと。風光明媚な場所で茶を喫し、興趣としていたことが伺えます。
尚、入間市博物館には、売茶翁の提籃を再現した器局が収蔵されています。
- 売茶翁 遺愛器局「泉石良友」(入間市博物館)
旅にも向くこぶりな「茶籠」
提籃と同じく、野外に煎茶道具を持ち運ぶものに「茶籠」(ちゃかご)があります。こちらは軽く小振りなため、旅持ち茶器にも向きます。茶籠の内側は、布が内張りされていることが多く、凝った作りになっています。
ちなみに、日本の伝統文様の「籠目文様」は、竹籠の編み目を図案化したもので、六芒星にも見えることから「邪気を祓う魔除け」として用いられています。
室内で煎茶道具を持ち運ぶための「器局」
器局(ききょく)の「局」は、部屋の意味で「茶器の部屋」ということ。室内で使用するもので、「器局手前」というお手前もあります。茶器を持ち運ぶために、上部に取っ手が付いた物がよく見られます。
売茶翁の愛用した「仙窠」
取り外しができる「倹飩蓋」(けんどんぶた)
正面の上下または左右に溝があり、板などをはめ込んでいます。このような様式を「倹飩式」(ケンドン式)と言い、フタを外すことができます。そばの出前で使われる「岡持ち」も、同じ仕組みのものです。