煎茶ではなく紅茶のお話。毎日お茶を飲んでいますが、ひやりと肌寒い季節になると、発酵度の高いお茶が飲みたくなるもの。中でも、紅茶を煮出したロイヤルミルクティーは、身も心もほっと温まる飲み物。
ただ、紅茶専門店で飲むロイヤルミルクティーは、とても美味しいのだけれど、自宅で作ると、どうにもコクや深みのない味になってしまう。
煮出して作っても味が薄かったり、牛乳と紅茶が馴染んでいないのか、どうもしっくりこなかったり。色々と調べては試して、やっと「これぞ」というロイヤルミルクティーに辿り着きました。
煮出し式のロイヤルミルクティー
それが、紅茶専門店「ロンドンティールーム」のレシピ。煮出し式のロイヤルミルクティーで、とても濃厚かつまろやか。
公式サイトのページに詳しい手順がある上、動画で全工程を見せてくれるので(なんて太っ腹)、この通りに作れば、美味しいロイヤルミルクティーを誰でも簡単に作ることができます。
美味しく作るための3つのポイント
個人的にポイントと思ったのは、下記3点。
- 沸騰した湯に、茶葉を山盛り投入する
- 常に強火。茶葉が焦げ付くのでは?という火力で、ぐつぐつ煮出す
- 牛乳をいれたら、「鍋からあふれて、吹きこぼれる寸前」で火を止める
これで、濃厚なのに、渋みやえぐみのない、美味しいロイヤルミルクティーが完成。
レシピによっては「牛乳をいれたら沸騰NG」という説明も見かけますが、最初から最後まで強火で、全く問題ありませんでした。むしろ紅茶のエキスが余す所なく抽出され、濃く淹れた紅茶が牛乳と一体化することにより、濃厚かつマイルドなロイヤルミルクティーができあがります。
注意点と、更に美味しくためのコツ
火を止めるタイミングが遅れると、「紅茶が噴火してあふれてしまう」ので要注意。一度、噴火させてしまいました。IHの場合は、火を止めてもすぐ冷めず、沸騰し続けてしまうので、鍋を外した方がタイミングをあわせやすいです。
ちなみに煎茶道で、沸騰している湯に茶葉を投入するお手前があり(ジュッ!と音がする)、こちらもタイミングを間違えると、噴火してしまいます(茶葉が飛び散り、大変なことに…)。「吹きこぼれる寸前」というのが、美味しいお茶の1つのコツなのかなと思います。
スーパーで売っている紅茶と普通の牛乳でも、十分美味しい茶でしたが、濃い牛乳・ミルクティー向きの茶葉(アッサムなど)を使うと、更に美味しくなるはずです。スパイスを加えてチャイにするのも、いいものです。また、こちらの「より美味しく作るコツ」も参考になりました。
紅茶専門店「ロンドンティールーム」
どんなお店なのか気になって調べてみた所、名前の通り「英国式紅茶」の専門店。
大阪にあり、ロイヤルミルクティー発祥のお店なんだそう。開業した1983年から提供しているのだとか。コロナが落ち着いたら、ぜひ本店に伺って味わってみたいものです。
ただ、ロイヤルミルクティーは「京都のリプトンティーハウスが発祥」という話を、よく耳にします。どういうことなのでしょうか?
「ロイヤルミルクティー」は、リプトン発祥
リプトンといえば、黄色い包装の ティーバッグで、知らない人はいない紅茶の老舗。元々はスコットランドの企業で、現在は、日用品大手メーカー・ユニリーバの傘下ですが、「リプトンの売却を検討している」というニュースが、数ヶ月前に流れていました。
調べてみると、年代からいっても「ロイヤルミルクティー」は、リプトンが発祥で名付け親のようです。
1960年代半ば、リプトンのロイヤルシリーズとして、ロイヤルプリン、ロイヤルシュー、ロイヤルエクレア、 ロイヤルショートケーキ、ロイヤルミルクティが誕生します。
紅茶に合うデザートとして、人気を博したロイヤルシリーズは、 昭和48年2月、ロイヤルプリンが 総理大臣賞を受賞。そして ロイヤルミルクティは、のちに大ブームを起こすこととなるのです。
1930年(昭和5年)、京都の三条寺町に「リプトン・ティーショップ 第一号店」がオープン(運営:株式会社フクナガ)。当時の名前は、「リプトン本社 直轄喫茶部 極東支店」。極東という言葉に、時代を感じます。創業から30年が経った1960年頃、ロイヤルシリーズの一環として、ロイヤルミルクティーが産まれました。
ちなみに、株式会社フクナガの公式サイトに、創業者・福永兵蔵の創業ストーリーが詳しく載っています(※ロイヤルミルクティーについては言及がありません)。
親に勘当されたり、開店から3~4年は経営が苦しかったり、太平洋戦争時は「大東亜」と改名になったりと、艱難辛苦を乗り越えて来たことが分かります。そして、創業から90余年、三条寺町のリプトンティーハウスは、今も創業の地で続いています。
- 本日開店のこころ(株式会社フクナガ)
煮出し式「ロイヤルミルクティー」はロンドンティールーム発祥
話を紅茶に戻しますと、リプトンのロイヤルミルクティーは、「少量の熱湯を茶葉にかけ、紅茶エキスを抽出してから、牛乳で煮出す方式。一方、ロンドンティールームは、「茶葉を煮込んでから、牛乳を加えて煮出す方式」なので、作り方が異なります。
煮込み式で作った紅茶を「ロイヤルミルクティー」と名付けて提供したのは、ロンドンティールームが元祖です
ロンドンティールームの開業以前から、ロイヤルミルクティーという名前の紅茶を提供する喫茶店はありましたが、現在広く知られている煮込み式で作るミルクティーのことではありませんでした。
つまり、ロンドンティールームは、煮出し式「ロイヤルミルクティー発祥の店」ということだったんですね。
- 1960年頃:「ロイヤルミルクティー」誕生(リプトンティーハウス)
- 1983年頃:煮出し式の「ロイヤルミルクティー」誕生(ロンドンティールーム)
いずれにしろロイヤルミルクティーは、本国イギリスにはないメニューで、日本生まれの煮出し式ミルクティー。そして、ティーカップの紅茶に牛乳をいれるミルクティーよりも、「ロイヤルミルクティー」の方が美味しいので、おすすめです。