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茶会記録

第64回 二条城 市民煎茶の会 2018

毎年ゴールデンウィークに、京都の「元離宮 二条城」で開催される市民煎茶の会。

「煎茶道を気軽に楽しんでもらおう」と、京都市が主催している煎茶会で、昭和30年(1955年)から毎年開催されており、今年で64回目だそうです。お日柄もよく、新緑の美しい庭園のお茶室で、美味しいお茶を頂きました。

市民煎茶の会@元離宮 二条城

 第64回二条城_市民煎茶の会

5/3~5/5の三日間、京都家元会の煎茶道六流派が、日替わりでお茶席を設けます。席主は各流派のお家元が務められ、茶席券は2,000円(茶席2席・二条城の入城料含む)。

2018/5/3[木/祝]  売茶本流、玉川遠州流
2018/5/4[金/祝]  皇風煎茶禮式、瑞芳菴流(ずいほうあんりゅう)
2018/5/5[土/祝]  小川流、泰山流

4/1から二条城で前売券を発売しており、当日券も数量限定でお取扱いがあります。お茶券に日付の指定はないので、別々の日のお茶席に入ることもできます。

二条城開場前

左側は入場口。右側の行列は、当日券の販売窓口

開城の8:45前には、すでに当日券売り場に行列が。

この日は、連休の中日。二条城を拝観にきた海外からの観光客・団体ツアーのお客さんが続々いらっしゃり、日本人より多かったかもしれません。

前もってお茶券を購入しておいて、正解でした。開場と共にすぐに入場でき、二条城をゆったりと回ることができました。

二条城市民煎茶の会のお茶券

和洋折衷型庭園の「清流園」

茶会の会場の「清流園」は、1965年(昭和45年)に造られた庭園で、江戸時代の豪商、角倉了以の屋敷跡(京都市河原町二条)から建築部材などを譲り受け、移築して作られたそうです。

芝生が敷き詰められた洋風庭園と、和風の池泉回遊式山水園からなり、和風庭園側に「和楽庵」と「香雲亭」という二棟のお茶室があります。「和楽庵」は、表千家の書院座敷の茶室「残月亭」を模した建物とか。

清流園へ向かうと、9:30にはすでに受付を開始していました(茶会は10時開始)。各流派ごとに受付が設けられており、茶席券を渡し、お茶席を予約すると整理券がもらえます。

二条城の特別名勝「二の丸庭園」。小堀遠州が改修した書院造庭園

二条城の特別名勝「二の丸庭園」。小堀遠州が改修した書院造庭園

お茶席までの待ち時間は、お庭を見ながら待合席で待つもよし、二条城の拝観もできます。

連休中の為、観光客の方が大勢見えるのかと思いきや、混みあっていた二の丸御殿とは打って変わり、清流園は人も少なく静か。

この日は快晴で、前日に雨が降ったこともあり、緑が一層きれいでした。

瑞芳菴流@香雲亭

二条城_和楽庵の床の間

1席目は、瑞芳菴流のお茶席に。

香雲亭は通常は非公開のお茶室で、畳敷4畳と床の間がとても広く、お茶席は1席30人ほど。お軸は「清風動脩竹」(せいふうしゅうちくをうごかす)。竹の葉音が聞こえてきそうな、涼やかさ。

瑞芳菴流は、昭和初期に創設された煎茶道の流派。現在のお家元は三代目で、黄檗宗 慈恩寺(滋賀県東近江市)のご住職。

以前は、黄檗にある「青少年文化研修道場」に勤めていらっしゃったとか。数年前、萬福寺の茶会の際にこちらの道場に泊まった際、対応してくださったのが現家元でした。

 京菓子司「かぎや延弘」

お茶は玉露の二煎出しで、お菓子は京菓子司「かぎや延弘」の練り切り。淡い色合いが美しく。

二煎目は、数人の組に分かれて、お茶の入った急須が置かれます。自分で茶碗にお茶を注ぎ、次の方に急須を回していく方式で、皇風煎茶禮式も同じお茶の出し方でした。

煎茶道は流派によって、茶碗の数が5碗の流派と6碗の流派がありますが、瑞芳菴流は6碗。黄檗売茶流も6碗です。1碗はお手前さんが毒見で使用し、5碗をお客様にお出しします。

瑞芳菴流の茶会

ちなみに、茶の湯の言葉では、毒見をすることを「鬼を仕る 」(おにをつかまつる) と言うとか。

どうして鬼と呼ぶのか。調べてみた所、宮中や武家社会において、貴人の毒見役のことを「鬼」「鬼役」と呼んだそうです。食べ物の場合は「鬼食い」、飲み物の場合は「鬼飲み」と。昔は命がけであったのでしょうか。

鬼食ひ

貴人の食物の毒味。宮中で、元旦に天皇が飲む屠蘇(とそ)を、薬子(くすりこ)と称する少女が鬼の間から出て試食したところからという。

鬼飲み

酒や湯茶の毒味。

※出典:デジタル大辞泉(小学館)

お手前の共通点だけでなく、茶心壺の清め方や仙媒の扱いなど、流による違いも垣間見え、楽しませて頂きました。

皇風煎茶禮式@和楽庵

二席目は、皇風煎茶禮式に。「茶席の写真はご遠慮ください」とのことでした。

こちらの流派は、「煎茶の道を縦軸に、礼式作法(美しい所作、相手に対する心配り)を横軸として、日々の暮らしの中に生かされる学びを通じて、真(まこと)人づくりを理念とする」とのこと(※公式サイトより)。

お軸は「心外無別法」(しんげむべっぽう)。この世のすべては心の現れ。心があるのみ、心の他に法はない。

茶室に床脇はなく、床の間の横には、地板に簀子が敷かれた付け書院が。通常、床の間と書院は直角の位置にありますが、和楽庵はこの並びとなっていました。明るく開放感のある印象です。

付け書院の座敷飾りには、お家元が手ずから育てたという、野草の鉢植えが幾鉢か据えられ、心安らぐ風情。

お菓子は、白い小さなカラー(Calla)の花が添えられた生菓子(どちらのものかは失念)。

仏炎苞・カラーの花

カラーの花。花びらのような白い苞は、仏像の光背に似ていることから「仏炎苞」(ぶつえんほう)と言う。

広々とした茶室「和楽庵」にて、新茶の玉露を頂きました。

禮式(礼式)と流に冠した名の通り、お運びさんもしずしずと。聞こえてくる音が、とても静かなことが印象に残りました。

茶会の最中に、ちょっとした事件があったのですが、返って流派の大切にしている価値観が浮き彫りになり、貴重な学びを得た茶席でした。

茶房前田(二条城内 清流園 和楽庵)

ちなみに、和楽庵では、通常は「茶房前田」が営業しています(前田珈琲が運営)。小川の流れる庭園を見ながら、お抹茶と和菓子、サンドイッチなどの軽食や珈琲を頂くことができます。

住所 〒604-8301 京都府京都市中京区二条城町541
アクセス 地下鉄東西線「二条城前駅」下車すぐ
営業時間  9:30〜16:30 
 定休日 無休(臨時休業あり)
 URL http://www.maedacoffee.com/?page_id=998
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