「火炉(かろ)」「灰炉(かいろ)」は、涼炉と同じ役割の道具で、小型の火鉢です。
「瓶掛(びんかけ)」「瓦炉(がろ)」とも言います。茶道の炉のように、中に灰を入れ、五徳を置いてボーフラをかけて使用します。また、五徳を使わず、涼炉のように上部に爪がついているものもあります。底に足が3つ付いているものは、鼎炉(ていろ)と呼びます。
※画像は「白泥 遊環 瓶掛」(讚窯 江戸時代・天保年間|東京国立博物館 所蔵)
目次
涼炉と火炉の違い
涼炉は、炉扇を使い、風門から風を送って火を調整しますが、火炉は灰を調節して火力を加減します。また、涼炉は白泥の素焼きが主(陶器もあり)ですが、火炉は金属製が主となっています。
売茶翁茶器図の灰炉
売茶翁茶器図には、3種類の灰炉が掲載されています。どれも金属製で、中に五徳を入れて使うものの他、涼炉のように炉自体にボーフラを置く爪がついているものもあります。
瓦爐
瓦炉の背に「陸氏流風 同工異曲 晨焉夕焉 輔吾煢獨」(高處士 題)と刻まれている、と書かれています。
大きさが明記されており、径一尺 高八寸(幅=約30cm、高さ=約24cm)であることが分かります。
灰爐
「唐物古銅」とあり、中国製の銅炉と思われます。耳に輪が付いており、麻の葉文様が刻まれています。
銅爐
可長製、径五寸五分 高四寸二分(幅=約17cm、高さ=約12cm)と書かれています。「近世畸人伝」では、「黄銅盧・古製 可長造・唐山製」と記載されています。