新型コロナに関する「茶の効用」の注意喚起

緊急事態宣言の解除後、新型コロナ・ウィルスの感染が再び拡大し、早くも第二波が訪れようとしています。

各国でワクチン開発が進められていますが、短期間で免疫が消滅する可能性が出てきており、刻々と状況が変わっています。先行きが見通せず、不安な日々を過ごしている方も多いのではないでしょうか。不確実性の高い時代、心身を整えることがまず第一、しなやかに強く賢く生きる必要性を一層感じています。

このような中、お茶に関して様々な情報が出回っています。冷静な判断の一助として、コロナに関する茶の効用について、現時点でわかっていることをまとめました。

目次

緑茶

【未証明】茶カテキン「EGCG」がコロナに有効

「コロナ対策に緑茶が有効」という情報を、耳にした方も多いのではないでしょうか。結論として、現段階では医学的に証明されておらず、事実とは言えない情報です。

茶カテキンがコロナウイルスに効くと新聞や雑誌に書かれているが、医学的には証明されていない

食品新聞の記事より(2020/6/20)

緑茶に含まれるEGCGという成分は新型コロナのウイルスを抑制する効果を持つ可能性はあるが、そのことを証明した研究結果は現在のところない

INFACTの記事より(2020/4/28)

EGCg(エピガロカテキンガレート)が新型コロナウイルスの抑制効果を持つ可能性はありますが、まだ現時点では証明されていないため、ミスリードする情報です。静岡県の環境衛生科学研究所が研究に着手していますから、今後の研究成果が待たれる所です。

※2021/12/27追記

その後、京都府立医科大と伊藤園が行った試験管内の実験で、以下の効果があることが発表されています。

発表によると、茶類を経口摂取しても血液中への移行は少なく、特に重合したカテキン類はほとんど吸収されないことから、お茶を飲んでも消化管から吸収されたカテキン類が全身的に作用する効果は期待しにくいとした。

一方、お茶を口中に含んだ時には、口腔内で唾液中のウイルスが茶カテキン類によって不活化される効果は期待できるとした。

カテキンにコロナ不活化効果 試験管内の実験で確認 京都府立医科大と伊藤園(食品新聞、2021/6/28)

※2022/2/2追記

東京の民間企業が緑茶カテキンを高濃度のまま安定化させることに成功した、というニュースがありました。今後、EGCGの効能を維持した商品の開発に期待です。

 衛生用品や化粧品原料などの研究開発を行うHPG(東京都中央区)は、緑茶カテキンを水溶液中で高濃度のまま安定化させる技術開発に成功した。インフルエンザや新型コロナウイルスの感染阻害・不活化作用を実証しており、今後はさらなるエビデンスを積み重ねて事業戦略を組み立てる考え。

(※中略)

茶葉に多く含まれるエピガロカテキンガレート(EGCg)は、酸化劣化が激しく保存安定性に欠けるため、各種製品開発において大きな欠点となっていた。この点を克服した同社の水溶液化技術(特許出願中)は、1万ppmの高濃度で安定化させることができ、希釈での濃度調整も容易という。

茶カテキン、水溶液中で高濃度、コロナ対策(科学工業日報、2022/1/31)

台湾茶

【未証明】ポリフェノール「テアフラビン」がコロナに有効

台湾のメディアで、台湾茶に含まれるポリフェノールにコロナ抑制効果がある、というニュースが出ています。ただし、まだ「可能性」の段階で、実験による検証はされていません。

嘉義長庚紀念医院の中医学チームは、台湾産茶葉に含まれるポリフェノールの一種「テアフラビン」に新型コロナウイルスの増殖を抑える効果がある可能性を発見した。

中央通訊社の記事より(2020/3/27 )

紅茶

【未証明】「紅茶ポリフェノール」がコロナに有効

こちらは根拠のない情報です。「人体での予防効果を示した報告はない」ことから、有効とは言えません。

「ウイルスの予防に紅茶や緑茶がお勧め」。ツイッター上には、そんな投稿があふれかえっている。

お茶に含まれるポリフェノール成分の一種に、抗ウイルス作用があるとする説に基づくものとみられるが、ポリフェノールに詳しい開発邦宏・大阪大連携研究員は「そうした研究はあるが、実際に人で予防効果を示した報告はない」と指摘する。

読売新聞の記事より(2020/1/31)

現状では「デマ」として、消費者庁の取締対象となっています。ただし、台湾茶の章で紹介した「テアフラビン」は発酵茶に多く含まれる成分であり、紅茶にも含まれています。今後の研究によっては、効果が証明されるかもしれません。

※2022/2/2追記

「10秒で新型コロナワククチンが不活性化する」という記事が出ています。 誤解を招くタイトルなので鵜呑みにする人が出てきそうですが、 これは試験管内の実験であり、人体では実証されていません。この段階で発表するのは、ミスリードではないかと個人的には思います(場合によっては、景品表示法。健康増進法違反に該当する恐れがある)。

また、口の中を殺菌できたとしても、鼻から気道&肺に侵入してくるウィルスは防げませんから、マスクは必須です。

1点目は、市販のティーバッグでいれた紅茶で新型コロナウイルスを処理すると、わずか10秒でウイルス感染力価(細胞に感染するウイルス数の指標)が減少すること。2点目は、通常の飲用濃度よりも低い濃度の紅茶でも新型コロナウイルス感染力価は減少するということです。

(※中略)

今分かっていることは、「夾雑物(異物)がほとんどない条件下で紅茶がウイルスの感染力を低下させる」までです。次のステップとして、唾液中でも同様に紅茶がコロナウイルスの感染力を低減するのか、新型コロナウイルスに感染した人の唾液中でも、紅茶がウイルスの感染力を低減するのかを確認していく必要があります。

実際に新型コロナウイルスに感染した人、発症した人などに紅茶を飲んでいただき、唾液中のウイルスがどれだけ減少するかという実証実験を検討しています。

「わずか10秒で新型コロナの感染力が低下する」大学教授が予防効果アリと期待する”ある飲み物”(PRESIDENT Online 2022/1/28)

茶外の茶

【デマ】タンポポ茶が、コロナに有効

これは、完全にデマです。消費者庁から注意勧告が出ており、販売企業は「医薬品医療機器法違反」で書類送検されています。

【デマ】ブラジルの「キナ茶」が、コロナに有効

「ブラジルのキナ茶がコロナに効く」は効果がないどころか、むしろ人体に有毒です。

【デマ】マダカスカルの「薬草茶」が、コロナに有効

「コビッド・オーガニクス」と呼ばれる薬草茶がコロナに効くという情報がありますが、こちらもデマです。マラリアに効果があるとされる、ヨモギ属などの薬草を配合したお茶だそうですが、WHOが警告を出しています。

【デマ】中国の「漢方茶」が、コロナに有効

中国の製薬会社が、感染症予防の効果をうたった広告を配信し、行政処分を受けています。

消費者庁の改善要請

証明されていない成分や食品について、「コロナに有効」と宣伝することは、「景品表示法」(優良誤認表示)及び「健康増進法」(食品の虚偽・誇大表示)の違反に該当します。そこで、事業者の方向けに、お茶関係のコロナ宣伝のNGワードをまとめました。

  • ポリフェノール
  • EGCG(エピガロカテキンガレート)
  • 緑茶
  • 茶カテキン
  • 紅茶
  • テアフラビン
  • 紅茶ポリフェノール

NG広告の例

実際に消費者庁から改善要請があった、広告の例です。

  • 新型コロナウイルスを予防したい方、緑茶抽出物に含まれる高濃度のポリフェノールECGCが強力な抗酸化能力で免疫力を高める
  • 新型コロナ対策に!緑茶のエピガロカテキンガレート
  • 茶カテキンでコロナ予防を!茶カテキンの抗ウイルス、抗菌、抗酸化力、新型コロナにも有効
  • 新型コロナウイルス、紅茶で免疫力UP!
  • 新型コロナウイルスに対する免疫機能向上に役立つテアフラビン(紅茶ポリフェノール)

おわりに

今回のコロナに限らず、災害や事件などがあった場合、さも真実のように様々な情報が流れますよね。不安や恐れなどがあると、つい脊髄反射で反応してしまうこともあると思います。

真偽を確かめずに不正確な情報を広めることは、たとえ善意であっても(願望や希望の場合もあるでしょう)、デマの拡散になってしまいます。科学的根拠があるかのチェックを、日頃から気をつけたい所です。

事実確認の参考サイト

正しい情報に基づかなければ、正しい判断はできません。「ネットや社会に広まっている情報が事実かどうか」、ファクト・チェックを行ってしてNPO法人があります。

コロナに関するデマ情報まとめや、サイトに誤情報に惑わされないための注意点も掲載されていますので、参考になさってください。

補足|お茶に含まれる成分

「テアフラビン」「カテキン」は、ポリフェノールの一種です。お茶に含まれるカテキン(※タンニンとも呼びます)には、主に4種類があり、EGCGはそのうちの1つです。

茶に含まれるポリフェノールとカテキン
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