茶会記録

【茶会記録】黄檗売茶流 文化祭|献茶式と茶席

先般、萬福寺にて、黄檗売茶流の文化祭が開催され、久方ぶりにお茶会に参加してきた。

例年であれば、5月に煎茶道大会、10月に月見の煎茶会が開催される萬福寺。しかし、コロナにより2年連続で茶会は中止に。今回、緊急自粛宣言の解除後、感染状況が落ち着いた状態で茶会をつつがなく開催することができ、本当に良かったと思う。

献茶式

弥勒菩薩の化身と言われる布袋尊@天王殿。昔、初めて萬福寺を訪れた時、貸出中のためパネル展示でとても残念だったことがあるのだが、今回はおわしました。

法堂

午前10時、少し風が吹いて肌寒い中、本堂手前の月台にて、法要と献茶式が厳かに行われた。雅楽の演奏が流れ、炭点前ののちお家元の流れるようなお点前。そして、黄檗宗独特の唐音のお経による法要。何度聞いても、お経というより異国の音楽を聞いている気分になる。

来賓席には平安装束の御一行の方々の姿もあり、みやびな雰囲気に。そして、晴れやかな免状の授与式も行われ(予想だにしないサプライズも)、とてもよい場に立ち会うことができた。このうえない祝福の場。

開山堂

頂いた日程表によれば、隠元禅師が祀られている開山堂でも、法要と献茶が行われていた模様。

参列はできないので、朝早めに来て個人的にお参りをした。こちらには、隠元禅師70才の古希を祝って作られた禅師の像がおさめられている。先日、この像を中国に一時貸し出しする話がニュースが流れており、写真が公開されていた。存命中の制作でご本人の毛髪や髭が使われており、とてもリアル。

お茶席の様子

久方ぶりのお茶会、お客さんとして参加予定が、なんとはなしに微力ながらお手伝いの方に。

600名ほどのお客様がお越しになり、お手伝いしていたお茶席は、昼過ぎにはすべての席の茶券を配り終わって満席御礼に。後からお越し頂いた方には一律お断りとなり、申し訳なかった。こういう時、他の茶席の開催時刻や空き状況がすぐ分かると案内できていいかもしれない、とふと思う。

お日柄もよく、回廊の各所にお茶席が設えられている(※提籃席のみ法堂内)。

お役目交代しての休憩時間に、ぐるりと境内を一回り。時間がないので茶席には入れなかったものの、各席の設えを拝見できるのが野点のよいところ。

平成一景

黄交趾の涼炉が目をひくお席。黄色といえば中国では皇帝の色。五行思想で黄色は中央を示し、最初の皇帝は黄帝という伝説もある。

畳が敷き瓦と並行に置かれていたことに、写真を見て後から気づく。そして、涼炉の「黄」と置き畳の「紫」とが補色になっていることにも。

交趾焼は、明代後期に中国南方で焼かれていた陶器。江戸後期に日本に伝来後、国内でも作られるようになり、現在では京焼の代表的な技法の1つとなっている。パティシエがケーキにデコレーションを行う時のように、絞り出しで紋様を描く。表面に凹凸ができ、鮮やかな色が特徴。

こちらのお席は、結界に大津絵の「鬼の寒念仏」の姿が。茶席が終わった後だったので、茶碗の姿はないけれども、洗瓶がない最小限の道具組のため平成一景のお席。

※参考:大津絵の鬼について(大津絵の店ホームページ)

煎茶

手前座の周りに、二重三重にお客さんの輪ができており、大変盛況なお席。お客さんとの距離も大変近く、お手前の方はかなり緊張したのでは。絵付けの綺麗なお道具が多く使われおり、印象的。

淹茶二煎 お棚

棚飾り

想像していた棚とはまるで違って驚いたお席。童子は可愛らしいおこさん。仲良く二人並んでいて、ほほえましかった。卍崩しを彷彿とさせる互い違いの棚に、青い大きな水盤?に白砂、とても凝っていてお席に入ってお話を伺ってみたかった。

煎茶 四つ急須

煎茶道具はじめ、指物細工などの木工作品を制作している市川正人さんのお席。茶心壺・仙媒・棚と、自作のお道具が並ぶ。棚の細かい造作‥!

席飾りの盛り物は、霊芝に2つの柿で「事事如意」の意、とお話を聞く。「柿」と「事」はいずれも中国語で「shi」で同音、霊芝は如意に形が似ていることから。「何事もうまくいきますように」という吉祥の意味合い。盛り物の雅題は楽しい。

こちらの盛り物を乗せた板は、何年か前の萬福寺の修繕工事の際に出た古材なんだそう。再び故郷に帰り、日の目を見る。

お茶碗は、京焼の加藤清昌さんの作。お片付け中にお邪魔してしまったものの、久しぶりにお会いしてお話でき、大変楽しかった。ありがとうございました。

淹茶二煎 三つ飾

油滴釉?の黒い涼炉に、茶碗も黒のシックな席。

結界の前には小さなダルマ。茶会終了後の帰り道、回廊の手すりにもダルマの姿を見つけ、微笑ましかった。こちらは萬福寺でお取り扱いしている「紅白だるまのおみくじ」。ほっそりしていてツリ目。

啜り茶

法堂右手の東方丈の前で、すすり茶のお手前。

使いやすそうなこぶりな涼炉を見て(このくらいのサイズだと持ち運びによさそう)などと実利的なことを考える。「用の美」とは民藝運動に由来する言葉ではあるけれど、お茶の道具においても、機能性を阻害するような審美性はよろしくないと個人的に思う。

箱手前

結界代わりのガラスの花に、写真ではよく見えないけれど鳥の巾合が愛らしい。それにしても茶箱に茶籠に提籃にと、お道具が一式おさめられると、無性に心惹かれるのはなにゆえなのか。

ハーブティー

ガラスで統一された清涼感のあるお席。こちらのお席も人気でにぎわっていた。お運びの方がお若く華やかなお着物で眼福。一輪のバラが添えられた茶席の雰囲気にもとてもあっていた。

少し脱線すると、3~4席すべて玉露でもカフェインの過剰摂取にはならないが(※)、煎茶道以外の席もあると、色々なお茶を味わえてお客さんも嬉しいのではと思う。

※農林水産省の「カフェインの過剰摂取について」レポートによれば、大人の場合「1日当たり400 mgまで」カフェインを摂取しても健康に問題ないと言う(ただし妊婦や服薬中の方などは除く)。これはコーヒー4~5杯に該当する。玉露はコーヒーの約2.7倍のカフェインを含んでおり、仮に1杯25mlの量とすれば、10杯までは飲んでも問題ない。

この他にも提籃席・中国茶席などがあり、さすが大伽藍の萬福寺、10席以上のお席があっても広々としていた。一席一席じっくり拝見したかったが時間には限りがあり、後ろ髪ひかれつつ一周して終了。通常、室内の茶会だと参加したお茶席しか拝見できないので、野点はいいものとしみじみ思う。お茶が飲めずとも満喫した。それにしてもお天気がよくて本当によかった。

長くなってしまったので、一度ここで小休止。次回は引き続き文化祭について「煎茶道具と花」を。