高齢化や後継者不足などから、生産者の減少と、休耕や耕作放棄される茶園増加が間題となっている。
そこで、耕作放棄地の活用やお茶の新たな用途開拓として、茶の実の活用が進んでいる。主にスキンケアやヘアケアなどのお茶コスメが多いようだが、「茶の実油」の製品が増えてきた。環境に対する意識の高まりから、アップサイクルコスメとしても注目を浴びているようだ。そこで、茶の実油コスメの製造/販売している
※茶の実油(TEA SEED OIL):化粧品の表示名は「チャ種子油」、医薬部外品の表示名では「チャ実油」「茶油」。成分については「チャ種子油の基本情報・配合目的・安全性」(化粧品成分オンライン)が詳しい。

東京都

采茶~SAICHA@港区

静岡県の耕作放棄地の茶の実を活用し、コールドプレス製法でオイルを抽出。コスメを製造販売している。農家の新たな収入源となっているほか、福祉施設の就労機会も提供にもなっている。

THREE@品川区
2009年の創業時から、茶の実油を使用しているスキンケアブランド。低温圧搾で抽出したオイルを、ほぼすべてのスキンケア商品に利用。オンラインで購入可能。
AKOMEYA TOKYO@渋谷区
コールドプレス製法で搾油した茶の実油を使用。オンラインでも購入できる。
千葉県

茶の実油専門店「緑門」@船橋市
佐賀県嬉野を中心に、農薬・化学肥料を使っていない自然栽培で、スキンケアオイル用の茶の実オイルを製造&販売。代表取締役の下山田さんは「日本 茶の実油協会」の理事。茶の実作りのコンサルティングも行い、精力的に茶の実油の普及活動を行っている。前述のコスメブランド「THREE」のWEBメディアに長編インタビューが掲載されており、こちらが詳しい。
- 「もったいない」を「ありがとう」に、茶の実から始まる茶産業改革(株式会社緑門 代表取締役・下山田力さん)
- Vol.1 必要ないとされていた茶の実に与えた新しい価値
- Vol.2 苦難を乗り越え、緑門が切り拓く茶の実が進む道
- Vol.3 逆境から生まれた思いを形に。茶の実ストーリーに迫る
- Vol.4 日本の茶文化に新しい風を。茶の実が繋ぐ今と未来
茨城県

野口熊太郎茶園@茨城県猿島郡
「猿島茶油」という名称で、茶の実油を販売している。無農薬、無肥料の自然栽培で育った茶の実を使用。「茶の種子オイルの栄養と機能の評価」についての論文発表や、「茶の種子緑茶」の製法特許取得など、研究開発も熱心。
岐阜県
たねのしずく研究所@揖斐川町

休耕茶園の手入れをしながら茶の実を利活用し、スキンケアオイルブランド「SOL.(ソル)」という名で、石鹸やバームなどを販売。

奈良県
茶の実オイル研究所@山添村
特産品の「大和茶」の耕作放棄地を開墾し、茶の実で町起こしを行っている。「茶のみのり」という名前で、茶の実油を販売。
広島県
田頭茶舗@世羅町

在来種の茶の木からできた実を、コールドプレスで抽出。茶の実殻も、観葉植物のマルチング材として販売している。オンラインで購入可能。
愛知県
山の搾油所@設楽町
「植物分子科学」の研究に従事されていた方が、設楽町に地域おこし協力隊として赴任。2018年に「山の搾油所」を開業し、茶の実油「設楽茶油」を製造&販売。

鹿児島県
種子の実オイル工房@西之表市
日本一早い新茶の産地、種子島の茶の実オイル。市役所を定年退職した方が、2020年に友人らと工房を立ち上げた。耕作放置された茶畑から茶の実を収穫し、オイルを製造している。
お茶の実オイルプロジェクト@錦江町
産学連携の取り組みとして、錦江町と鹿児島純心女子短期大学が協力し、耕作放棄地の茶の実を活用したヘアオイルを開発。同町のナチュラルコスメブランド「ボタニカルファクトリー」で生産&販売。
なお、ボタニカルファクトリーは、モデルの水原希子さんのブランド「kiiks」に協力し、茶の実ヘアオイル「Green Tea Seed Hair Oil」も販売している。
ちなみに茶の実以外にも、様々な用途で茶を活用している事例があった。オイルの副産物の種皮なども、アップサイクルすることができ、茶は余す所がない。