雪の説話集「北越雪譜」が伝える、彼の人ならぬ売茶翁の姿

北越雪譜

今年もまた、酷暑を告げる言葉がニュースを賑わせている。

うだるような暑さを前に、ちらと涼を求めて、雪国の暮らしを記した古書「北越雪譜(ほくえつせっぷ)」を読んでいたら、思いがけない記載を見つけた。

目次

北越雪譜』とは—江戸時代の雪国の暮らしを伝える書

北越雪譜(野島出版、監修:宮英二、校注:井上慶隆・高橋実)

「北越雪譜」は、雪に関する随筆集。豪雪地帯である越後(現在の新潟県塩沢近辺)の暮らしを書き記したもの。

越後塩沢の商人・鈴木牧之が編撰し、戯作者・山東京山(本名・岩瀬百樹)が刪定(整理・校訂)を手掛けた。山東京山は、大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」で俳優の古川雄大さんが演じていた山東京伝の弟である。兄弟ともに江戸期の作家として活躍した。。

雪国の暮らしを、雪掘り、雪崩、氷室、動植物の様子まで細やかに書き記していて、読み物としてとても面白い。青空文庫でも読むことができるが、挿絵がまたいいので、個人的には紙の書籍を手に取ることをおすすめしたい。

今回参照したのは、昭和45年(1970)に初版発行された校注版(野島出版、監修:宮英二、校注:井上慶隆・高橋実)である。初編と二編が1冊にまとまっており、300ページを超える。表紙は、書物内で紹介されている雪の結晶(「雪花図説」を一部書き写したもの)。江戸時代、既に顕微鏡で雪の結晶の形が知られていたのには驚きだ。この本は冒頭の凡例に「挿絵は手抜きのない初刷による」という説明があり、挿絵も細部までくっきり見える。

尚、新潟県南魚沼市にある「鈴木牧之記念館」では、「北越雪譜」の初版本を展示しているそうだ

目次