中国の雲南省には、樹齢3200年を超える、世界最大といわれるチャノキがある。ふと、日本に巨大茶樹はどのくらいあるのだろうかと、気になって調べてみた。
鹿児島県
霧島の大茶樹(牧園の大茶樹)
かつて樹齢300年の大茶樹があり、「不老長寿の茶」として霧島神宮などに奉納されていたという。
しかし、昭和20年に枯れてしまい、初代の木から挿し木で成長した2代目の茶樹が、現在の大茶樹とのこと。霧島市の大茶樹公園内にあり、「牧園の大茶樹」とも。 2000年からは「大茶樹茶摘み祭り」が行われている。
- 樹高 :4.5m
- 幹周 :1.6m
- 樹齢 :約140年
- 所在地:鹿児島県霧島市牧園町持松690-2
- ※出典:かごほ(一般社団法人 鹿児島県茶生産協会)
佐賀県
嬉野の大茶樹
嬉野の大茶樹は樹齢350年と伝わっており、現存する最古の茶木か。嬉野市内で購入できる。
中国大陸から渡来した唐人が伝えたといわれる嬉野茶。
中国人が住みついたといわれる不動山皿屋谷には今も見渡すかぎり茶畑がひろがっています。
この大茶樹は1600年代に嬉野茶の茶祖といわれる吉村新兵衛が皿屋谷一帯に茶の栽培を奨励した当時の1本が残り、樹齢350年を経ているといわれます。
※出典:佐賀県公式観光サイトあそぼーさが
- 樹高 :4.6m
- 枝張 :約80cm
- 樹齢 :約350年
- 所在地:〒843-0305 佐賀県嬉野市嬉野町大字不動山乙
- ※出典:あそぼーさが(佐賀県公式観光サイト)
昭和初期の嬉野の大茶樹

(昭和3年、国立国会図書館デジタルコレクション)
この茶樹について、佐賀県の天然紀念物調査報告資料に、昭和初期の貴重な記録が残っていた。当時は樹齢250年余り、毎年4貫ほどの茶葉を積んでいたという。1貫=約3.75㎏とすると約15㎏ほどの量だ。
嬉野ノ大茶樹
所在 藤津郡西嬉野村大字不動山字白川
嬉野温泉ヨリ 嬉野街道ヲ西方約二里ニシテ 嬉野下宿ニ到リ
更ニ 南方二距ル約十五町ノ處ヨリ 南ニ岐レテ入レバ西ニ虚空
像岳ヲ受ケ 東方ニ嬉野川ノ上流貫流セル間ニ繁茂セル茶樹ヲ
見ルベシ
茶樹ハ 根キワヨリ 大小二十八本ニ分枝シ 主ナル幹四本ニシテ
枝張ノ圓周ハ 五十八尺 樹勢旺盛ニシテ 樹ノ太サ左ノ如シ
根廻リ 八,尺五
主幹中最大ナルモノノ周圍 一,一三
樹高 九,三
樹ハ二百五十餘年ヲ經タルモノト云ハレ 毎年四貫餘ノ摘葉ヲナス
大正十五年十月二十日 天然記念物トシテ指定セラレタリ
※出典:佐賀県史蹟名勝天然紀念物調査報告 第1輯(昭和3年、国立国会図書館デジタルコレクション)
静岡県
藤枝の大茶樹
静岡県藤枝市にある巨木。 初代は、昭和20年頃に枯死(樹高4.5m、枝張約9.6m、樹齢350年以上)。現在は2代目で、静岡県内最古の茶樹。
毎年茶摘みが行われ、一番茶は「長寿の香り」という名で、市内の高齢者施設に縁起物として贈呈されているそうで、いい話だ。

- 樹高 :4m
- 周囲 :28m
- 樹齢 :約300年
- 所在地:静岡県藤枝市大久保
- ※出典:藤枝市公式ホームページ
滋賀県
政所の大茶樹
樹齢300年以上、幹周30cmという在来種の大茶樹が現存しているとのこと。2002年、滋賀県の指定自然記念物に指定されている。
- 樹高:1.9m
- 周囲:0.3m
- 樹齢:約300年
- 所在地:滋賀県東近江市政所町
- ※出典:政所茶(中川誠盛堂本舗)
滋賀県指定自然記念物
・名称 :政所の茶樹(まんどころのちゃじゅ)
・大きさ:単株最大幹周:0.3m、高さ:1.9m
枝張り :東西7.0m、南北:7.3m
・指定理由資料によると、政所の茶の歴史は古く、永源寺5世の越渓禅師(えっけいぜんじ、1390入寺)が政所に、茶の植栽を始められたと伝えられています。また、文献によると、応仁の乱の戦火が収まった京の都に、学僧により広められていたとされています。地主の所有する茶樹は、在来種といわれる種で、樹齢は推定で300年程度の古木であろうと思われ、県内でも最も古いものに属すると考えられています。また、この茶樹は、毎年茶摘を行い、玉露を生産されており、健全な状態で今日まで維持され、地域の人々に親しまれています。
滋賀県の立て看板より
滋賀県大津にある中川誠盛堂本舗で、この古木から作られた茶「政所茶 大茶樹(完全無農薬在来種)」を購入できる(ネットでも購入可)。
