すっかり日が経ってしまったが、前回に続き、「黄檗売茶流 文化祭」について。境内の各所で茶が振る舞われる中、禅堂では「花座禅」と銘打たれたいけばな展が開催されていた。
華道 遠州流 いけばな展@禅堂
華道遠州流のいけばな展。禅堂(1663年創立の重要文化財)は座禅修行をする場所。堂内の両側には、通常は座禅の場であろう畳敷きがあり、そこに花が生けられていた。それで「花座禅」と膝を打つ。
尚、入り口には、隠元禅師の筆「選佛場」(※禅堂の意)の額が掲げられている。
元々は窓がなかったそうだが、あまりに暗いため大正~昭和に窓を作ったとか。確かに窓の開いてない側は昼日向でも暗く、入った瞬間に閉塞感が感じられたが、開いている側は明るさも開放感もまるで違う。風も通る。
花と煎茶道具との組み合わせでの展示。文人花ではなく、小堀遠州を祖とするきれいさびの花。
逆光だが、自然光の方が花が美しく見えるように思う。ガラスも光が通った方が映える。
極楽鳥か鳳凰か。
花器の水面に緑が映って美しい。
空に叢雲?のガラスの水指。
アール・ヌーヴォーなガラスの水指。茶道具の方にどうも目がいってしまう。
いけばな展の煎茶道具
時間がなかったのでじっくり拝見できなかったが、ガラスの水指や黄檗売茶流ならではの平成茶碗(※大きめの朝顔型の茶碗)など、煎茶道具も見所が多かった。
次の茶席まで、場合によっては1~2時間待ちとなることもあるので、合間にこういった展示が見れることは嬉しいもの。
終わりに
当日は茶券を購入していない拝観のみの方にも、たて出しのお茶の振る舞いが。また、萬福寺の僧侶の方が境内を案内してくれる無料ツアーも、開催されていた。拝観に来られた方は、予想外に煎茶の雰囲気と黄檗宗の文化を深く知ることができて、運がよかったかもしれない。
また、萬福寺の本堂(大雄寶殿)で、ピアノが演奏されるのは初めてのことだったとか。朝の準備中にちらりと本堂をのぞいた所、グランドピアノが設置されていた。音楽ホールのように音がよく響き、遠くお茶席にも演奏が聞こえてきて、非常に贅沢なBGMだった。
今回は文化祭の名の通り、茶席以外にもいけばな展、ピアノコンサート、襖絵の展示(「光の画家」と呼ばれる松井守男画伯の襖絵)など、茶を中心とした文化の祭典となっていた。煎茶文化は、飲み物としての茶だけでなく、茶道具・書画・庭・建築・花・盆栽など、多方面に展開している。その文化の広がりの一端がわかる場であったように思う。
色々と可能性が広がるが、規模が大きくなると運営の大変さや複雑さも乗算で増えるので、幸福度の高い適正規模での開催がよいだろうとの私見。なによりも、朋有り遠方より来たる、また楽しからずや。